2015年11月26日木曜日

医療って何をしているの?

自分の職業の原点に返り、「医療って何をしているの?」を整理してみました。

1)原因療法;原因を取り除き、治癒をめざす治療
①外因除去(患者数の1.7%=入院、2.3%=外来)」
細菌感染への抗生物質・抗菌薬、寄生虫疾患へのイベルメクチン等の抗寄生虫薬、数種類のウイルス感染(肝炎ウイルス、インフルエンザウイルス、ヘルペスウイルス)への抗ウイルス薬、毒物中毒の解毒薬
②内因除去
生活習慣改善指導(運動機能低下への筋力トレーニング・有酸素運動、リハビリテーション、糖尿病への糖質制限、高血圧への減量など、患者数の0.6%=入院、10.3%=外来)、生活環境改善指導(肝機能低下への冷え対策、喘息へのサウナ、放射能対策)、環境改善(入院、輸液、骨折・脱臼の整復固定、外傷の縫合、包帯)、白内障の眼内レンズ、予防接種、GenEpic?

2)対症療法:自覚・他覚症状を軽減する治療
①自覚症状対策
消炎剤、鎮痛剤、精神疾患用薬(鎮静剤、抗うつ薬、抗精神病薬、睡眠薬)、制吐剤、抗不整脈薬、気管支拡張薬、アトピー性皮膚炎のステロイドなど
②検査値異常対策
高血圧への降圧剤、血糖降下剤、高尿酸血症薬、高脂血症薬、慢性腎不全の透析療法

3)時間稼ぎ治療:無治療で悪化したり死亡するのを防ぐ
①再発可能性なし
外傷の救命救急センターでの薬物治療や輸血・緊急手術、癌手術療法の一部
②再発可能性あり
癌の手術療法の一部・抗癌剤治療・放射線療法・免疫療法、脳卒中・虚血性心疾患・動脈疾患の降圧療法

上記の治療のうち医者が胸を張って「治します」と言えるのは、外因除去と対症療法、外傷の救急治療の3つだけ!
それ以外の病気を治せるのは、南アルプス市のやまびこ小児科クリニック院長の横地 真樹先生のおっしゃるように患者さんの免疫力しかありません。

感想やご意見、提案がありましたらぜひコメント欄にご記入を。

2015年11月3日火曜日

薬漬けといわれるけど、日本の薬品使用料は本当に多いのだろうか

一昨日(2015年11月1日)に新潟で操体バランス運動研究会があり、その場で「全世界の2%弱の人口しかない日本が世界の医薬品売り上げの40%」と話しました。
Facebookで見かけた記事を思い出して裏付けを取らないまま、思わず自信満々にいってしまったのです。

帰京してから「とはいえ日本の3倍の人口を持つアメリカでも薬は相当使われているし、40%はちょっと多すぎないか?」と不安をいだき、改めて調べました。
すると、厚労省が発表している「医薬品産業ビジョン2013」に世界の医薬品市場で日本の占める割合が出ていました。

それによると、

・2011年の世界の医薬品市場規模:9530億ドル
・2011年日本の医薬品市場規模:1116億ドル(世界の11.75%)
・アメリカの一人当たり医薬品費:985ドル/年
・日本の一人当たり医薬品費:648ドル/年
・一人当たり医薬品使用順位:アメリカ>カナダ>ギリシャ>日本
ということでした。

やはり、いくら何でも40%は大げさで本当は約11.8%でした。
裏付けを取らずに不正確な数字をいったことをお詫びして訂正します。

とはいえ、平均値の約6倍の医薬品を使っているわけで、
薬漬けの印象は「やっぱりね」でした。

厚労省の資料は、
 http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/shinkou/dl/vision_2013b.pdf
から入手できます。