−
交互リラックス呼吸と瞑想 −
1.交互リラックス呼吸と瞑想をする意味
体の機能を自動的に調節している自律神経には交感神経と副交感神経の2種類があります。交感神経は活動に適した状態にする活動の神経・昼の神経です。これに対し副交感神経は疲労を回復し、傷んだ体を修復する休息の神経・夜の神経です。ストレスに満ちた現代は交感神経が興奮する場面が多く、どうしても交感神経優位の体内環境となりがちです。
こうした交感神経優位のアンバランスを是正する最も簡単な方法が呼吸法と瞑想です。具体的なやり方には別に説明する「顔面水つけ」と以下のリラックス呼吸、瞑想があります。顔面水つけが一時的に交感神経を興奮させ、その反動で交感神経の興奮性を低くするのに対し、リラックス呼吸と瞑想は積極的に副交感神経を強化してその働きを高める効果があります。
以下に説明する呼吸法の目的は何も考えずにボーッとすることなので、呼吸法なしで何も考えない状態(=瞑想状態)が実現できれば、呼吸法はしなくてもOKです。
2.交互リラックス呼吸のやりかた
椅子に深く座り、首や肩の力を抜いたリラックスした姿勢をとります。
1)吸気
深呼吸するような感じで鼻から気持ちよく息を吸います。
限界まで吸うのでなく、無理のない楽にできる範囲までにとどめます。
温泉などの気持ちよい環境中で深呼吸する場面をイメージするとよいでしょう。
限界まで吸うのでなく、無理のない楽にできる範囲までにとどめます。
温泉などの気持ちよい環境中で深呼吸する場面をイメージするとよいでしょう。
2)呼気
口を半開きにし、ささやくようにハーといいながらゆっくりため息をつく感じで気持ちよく息を吐きます。吐ききったら、一瞬息を止め吸気に戻ります。
息を吐く範囲は軽くお腹を引っ込めるくらいの楽にできる範囲でOKです。
このときはできるだけ何も考えないようしにます。もし雑念が浮かんだ時には雑念を追わないようにやり過ごすか、「生かしていただいて、感謝します」に置き換えましょう。あるいは体に問題点のある場合は、その場所に意識を集中し「私には治る力がある。治る力がある。」と心の中でとなえると暗示効果が高まります。
3) 1)2)をした次の呼吸は、普通の深さのため息を1回つき、また最初に戻ります。
1)2)3)を1セットとして、一回3分(10セット)程度を目安に休憩時間や入浴中などに実行すれば徐々に副交感神経の働きがしっかりしてきます。呼吸法終了後も何も考えずにボーっとすると、さらに効果が高まります。
適応症:免疫低下(癌、ウイルス感染症)、便秘、高血圧、うつ病、気管支喘息、アトピー、胃腸機能低下、不眠、パニック障害、肩こりなど。
3.大脳性理学的に交互リラックス呼吸と瞑想が効くメカニズム
最新の大脳生理学によれば、人が外界の刺激や記憶に基づいて行動をするときの脳の働きは次のようになります。
この図について解説します。
習慣的行動
人の行動は、大きく習慣行動と非習慣行動に分けられます。
日常生活のかなりの部分は習慣行動が占めています。
例えば、朝起きてトイレに行き、顔を洗い、ゴミ出しをして朝食の準備をするなどの毎日繰り返される行動です。
人はこうした習慣行動をするとき、善悪などの評価をすることはなく、自動的に行動が行われ感情が動くことはほぼありません。(図の認知→(習慣)→行動のプログラミング)
非習慣的行動
これにたいし非習慣行動では、最初に目の前で起きていることを大脳の前頭前野で認知します。
この段階では、起きている事実についての評価はなされていません。
次に、その認知した事実に過去の経験や知識に基づいて価値判断をおこない(前頭前野)、それによって嬉しい、悲しい、悔しい、がっかりする、寂しい、楽しい、不安、怒りなどの感情が発生します(大脳辺縁系の扁桃体)。
その後、行動にゴーサインが出たときには前頭前野で行動手順のプログラミングをし、実際の行動が行われます(大脳の中心前回・小脳・側頭葉)
理性により行動を実行することが適当でないと判断したときには、行動への衝動のみで実際の行動はおこなわれません。
夢の効用
とはいえ、理性で抑制して行動が行われないときには、行動したいという衝動を抑えたストレスが脳内に蓄積されています。
この蓄積されたストレスを処理する一つの手段が「夢を見る」ことです。
人は、夢の中では想像上の外界刺激に反応して感情を持ち、その感情に従って制約なく行動します。ただ、実際の行動が発現されると「夜中に奇声を発して走り出す」などの異常行動につながりますので、眼球を動かす外眼筋や噛むための咬筋以外は動かない「金縛り」状態となります。
すなわち、夢の大部分は覚醒時に抑制された行動をシミュレーションしてストレスを開放する活動なのです。
瞑想の効果
瞑想は、座禅などの宗教活動の重要な要素です。
健康や病気と瞑想の関連は、精神科の一部で催眠療法、行動療法として取り入れられている程度で、あまり重要視されているとはいえません。
ところが、2010年ハーバード大学での研究で瞑想をすると、脳の記憶中枢海馬の重量が5%増加し、脳幹や小脳も発達することが分かりました。
こうした現象が起きる理由ですが、瞑想状態で何も考えていない時には前ページ図の「=」部位で信号がブロックされることによると考えられます。
信号がブロックされると、外界刺激(中心後回)→認知のみ(前頭前野)→瞑想(脳幹)だけ信号が流れ、それ以外のルートには伝わりません。
そうなると、自律神経・ホルモン中枢(視床下部・下垂体)が感情(扁桃体)の影響を受けず、その中枢が本来持っている自動運転機能がしっかりと発揮されます。
それにより、各種疾病の回復や健康維持が図られるのです。
ボーッとして何も考えないことは無意味ではなく、身体によいので積極的に取り組みましょう!
0 件のコメント:
コメントを投稿